顔面神経は主に顔の表情を作る筋肉(表情筋)の運動を支配している神経です。

琉球大学医学部附属病院 形成外科

顔面神経麻痺の治療

薬物などによる保存的治療や麻痺に対するリハビリ治療を行なっても改善しない顔面神経麻痺に対して、神経自体を修復する手術や、顔面の表情を整える再建形成術を行います。
整容面での改善も目的としているため、出来る限り丁寧に仕上げるよう心がけています。

新鮮例に対する治療

麻痺発症後の経過が短く(1年以内)、顔面表情筋の変性・萎縮が著明でない症例に行います。

神経縫合術
切断された神経断端同志を縫合

神経移植術
下腿や頸部の知覚神経を一部採取して、切断された神経断端同士の間に移植

顔面交叉神経移植術
両側の顔面で上口唇皮下を通して交叉する長い神経移植を行って、患側の末梢側の顔面神経を健側の顔面神経の一部の枝と縫合などを手術顕微鏡下に行ないます。

陳旧例に対する治療

麻痺発症後の経過が長く(1-2年以上)、神経縫合術や神経移植術などの顔面神経自体を修復する手術が適応にならない症例に行ないます。
神経、筋などの組織移植が必要になり、形成外科的手技が生かされる分野です。

静的再建手術
  変性・萎縮が著明な表情筋の筋力では引き上げることができずに重力で下垂している顔面の組織を、大腿筋膜や耳介軟骨を利用して物理的に上に引き上げたり、下垂して弛んでいる分の皮膚を切除する方法があります。

動的再建手術
顔面神経以外の神経(三叉神経)により支配される咀嚼筋(側頭筋や咬筋)を用いたり、新たに体の別の部位(大腿・背部・腹部など)から一部の筋肉を神経と血管と一緒に採取して手術顕微鏡下に顔面へ移植し(神経血管柄付き遊離筋移植術)する方法です。
結果的に下垂部を引き上げる運動や顔面の表情運動がみられるので動的再建と呼ばれます。

静的再建手術は安静時の顔の歪みを改善させる方法であるのに対して、動的再建手術は表情運動も改善させる方法です。
部位別に大きく分けると、目周囲口唇周囲の治療に分けられ、一度に両方を治療する場合もありますし、別の機会に分けて治療する場合もあります。

顔面拘縮、異常共同運動に対する治療

陳旧性の顔面神経不全麻痺で、顔面の拘縮(こわばり)や、異常共同運動(口と目が同時に動いてしまい、笑うと目が細くなる、食べ物を食べていると目が細くなる)に対する有効な治療は今までありませんでいした。
しかし最近、顔面神経に舌下神経からの信号が加わる(cross-link)と、顔面拘縮や異常共同運動が改善する可能性があることが明らかになりつつあります。

琉球大学医学部附属病院 顔面神経麻痺治療専門サイトでは、顔面神経と舌下神経を顕微鏡下にcross-link(別の神経同志を縫合すること)手術を積極的に行っています。

今まで、あきらめられていた病状に対して新たな光をもたらす可能性があるのです。
受診していただければ、さらに詳しいお話をさせていただきます。

静的再建手術
変性・萎縮が著明な表情筋の筋力では引き上げることができずに重力で下垂している顔面の組織を、大腿筋膜や耳介軟骨を利用して物理的に上に引き上げたり、下垂して弛んでいる分の皮膚を切除する方法があります。

動的再建手術
顔面神経以外の神経(三叉神経)により支配される咀嚼筋(側頭筋や咬筋)を用いたり、新たに体の別の部位(大腿・背部・腹部など)から一部の筋肉を神経と血管と一緒に採取して手術顕微鏡下に顔面へ移植し(神経血管柄付き遊離筋移植術)する方法です。

動的再建術

我々が現在行っている動的再建術は、側胸部の前鋸筋という筋肉を薄く採取して、顔面に移植する方法です。
前鋸筋を支配する長胸神経、胸背動静脈と共に、筋肉を採取します。 筋肉は非常に薄く採取するために、切除した部分に大きな犠牲を残しません。
日常生活も全く問題なく行える画期的な方法です。

動的再建手術

採取した筋肉は三等分して、頬部に移植します。筋肉の方向を70度、45度、10度の三方向に引き上げます。
これまでの一方向の引き上げに比べてより自然な笑いを獲得することが可能です。
また移植筋肉はかつてないほど薄くできるため、術後の頬部が膨らんでしまうというこれまでの欠点を確実にカバーできます。

オーダーメイドの治療

移植した筋肉を動かすための神経は健康な側の顔面神経か、麻痺側の咬筋神経を用います。
患者さんの状況に応じて、希望を聞きながら、オーダーメイドの治療を行っています。

手術は顕微鏡下に可能な限り丁寧に行います。形成外科のマイクロサージャリー専門医が最低3人以上の体制で患者さんをバックアップし、出来るだけ合併症を行さないよう、最新の注意をはらいます。
2011年10月に台湾で行われた、国際顔面神経麻痺フォーラムで、ライブサージェリー(生の手術を学会参加者にTV中継)を行ってきました。

Page Top