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リンパ浮腫の診断
浮腫を診断するのではなく、リンパ管の障害の程度を診断する
あるドイツの有名な医師が
「リンパ浮腫の診断には熟練のリンパ専門医が診察すれば必ずしも画像検査は必要ない」
と述べています。本当にそうでしょうか??
癌を診断する際、身体所見や問診以外に、画像検査や病理検査などが必須であるようにリンパ浮腫の診断にも画像検査という客観的な検査が必要となります。
以前は検査機器がなく、リンパ浮腫における検査はできませんでした。もちろん、浮腫の程度は診察によってわかりますが、浮腫の程度とリンパ管の障害の程度は必ずしも一致しません。
そのため、画像検査によってリンパ管そのものを見て、障害の程度を診断することが非常に重要です。
リンパ浮腫における各種検査
リンパ管には無数の逆流防止弁があります。リンパ管は心臓近くの静脈につながっています。
しかし、逆流防止弁のために静脈からリンパ管に血液や造影剤が流れていくことはありません。
血管の造影は静脈に造影剤を注射すれば(静脈→心臓→動脈→静脈)と全身の血管が撮影できますが、リンパ管は非常に細いため、簡単にリンパ管に注射できません。
皮膚の下などに注射して、リンパ管に取り込まれるのを待つ必要があります。
リンパ管の撮影が難しいのはこのためです。
現在、専門施設で行われている各種検査を紹介します。
ICGリンパ管造影 | インドシアニングリーンという物質を注射して赤外線カメラでリンパ管が見えます。 利点:非常に細かく綺麗にリンパ管がみえる 欠点:赤外線を使っているため腹部など深いところは見えなくなってしまう。 |
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リンパシンチグラフィ | アルブミンを標識した物質を注射して撮影します。 利点:全身のリンパ流がみえる。 欠点:細かいところの解像度が低い。 |
MRリンフォグラフィ | ICGほどの解像度はないが、シンチグラフィより解像度が高く、深部も含めた全体も把握できる。 造影方法など、まだ定まっていない。 |
エコー | × 現在ある最高画像のエコーでもリンパ管は同定できない。 |
造形エコー | ソナゾイドという造影剤を注した後、エコーを行う。 リンパ流を測定できる可能性がある。 |
リンパシンチグラフィ(左下肢リンパ浮腫) | |
ICGリンパ管造影 |
リンパ浮腫の診断から治療までしっかりと行っている施設は全国に10程度ですが、これらの施設でもリンパ浮腫の画像検査の使い方、評価方法などは微妙に異なります。保険の問題もあり、診断方法は統一されていない現状があります。
当院ではICGリンパ管造影を中心に行っています。
繰り返しますが、浮腫の程度を診断するのではなくリンパ管の障害の程度を診断することが大切です。
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