琉球大学病院 形成外科では眼瞼下垂、睫毛内反、眼瞼腫瘍などに力を入れています。

琉球大学病院 形成外科 眼形成外科治療専門サイト

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眼窩の疾患

眼のまわりの骨折

眼のまわりの骨折には眼窩底骨折、眼窩内側壁骨折、眼窩上壁骨折、顔面多発骨折に伴うものなどがあります。

1.眼窩底骨折
眼球にボールが当たったり、肘や膝が当たったりして眼球を支えている薄い骨(眼窩底)に骨折を生じます。症状として複視、眼球陥凹、頬部や上唇のしびれを生じます。小児で高度な眼球運動障害を認める場合などは、受傷後早期の手術が望ましい場合もあります。

手術は主に2つの種類があります。1つ目は骨折部に陥没した眼窩内容(主に脂肪組織)をもとの位置に戻し、骨欠損が生じた場合、骨・軟骨移植あるいは人工物(人工骨などの人工材料)を移植して眼窩底を修復する方法です。2つ目は眼窩底の下の空間に当たる上顎洞の中に、風船のように膨らむ材料(上顎洞バルーン)を鼻から入れて3-4週間留置しておく方法です。内視鏡を併用して顔面には一切傷をつけないで整復する方法です。琉球大学病院 形成外科では近年2つ目の方法を行うことが多くなっています。

左側眼窩底骨折を認めます。 左眼球の上転障害を認めていましたが、術後には改善しているのがわかります。

2.眼窩内側壁骨折
眼窩底骨折の発生と同じ原因で、眼窩の内側に骨折を生じることがあります。眼球運動障害や、眼窩陥凹の原因となりえます。琉球大学病院では耳鼻科と共同して内視鏡手術を行って整復を行っています。顔面に一切傷をつけずに鼻の中から眼窩内側壁骨折部に到達し、同部を整復する方法を行っています。術後3-4週間、シリコンシートで固定を行います。ただし、受傷の状況が重症な場合は、経涙丘的に眼窩内側壁骨折を整復することもあります。

3.眼窩上壁骨折
受傷の仕方によっては、眼窩上壁が骨折することもあります。骨折片が眼窩内入り込み、(blow in)、眼球を圧迫して眼球運動障害をきたすことがあります。頭蓋底骨折を合併して髄液漏をきたすこともあります。眉毛下切開、冠状切開(頭皮全体の切開)を行って骨折部を整復します。陳旧性の場合は骨を削ったり、人工骨を充填したりして外観を整えることも行います。

右眼窩上壁骨折を認めます。 骨折片が眼窩内に入り込んでいたのを整復します。前頭骨部分も整復して外観を整えています。

4.顔面多発骨折
交通事故、転落などの高エネルギー外傷により、顔面全体の骨折をきたすことがあります。骨折の態様によって、様々なタイプの眼窩周囲骨折を合併します。丁寧に整復をすることにより、なるべく元の形にちかづけるようにします。

眼球陥凹

眼球陥凹とは眼が奥に引っ込んだ状態のことで、前項の眼窩底骨折の後にしばしばみられます。患者さんの状態に応じて自家骨移植、人工骨移植、脂肪移植、骨切術などをすることによって眼を前方に引き出すようにします。狭い眼窩内に新たな組織を充填することが基本になるため、手術は慎重に行わなくてはなりません。術後一過性の複視を認めることがありますが、通常は時間と共に軽快します。

義眼床形成

外傷や悪性腫瘍などが原因で眼球の摘出を余儀なくされることは稀ではありません。患者様は視機能の喪失という問題だけでなく、整容面でも大きなハンディキャップを負うことになります。失われた視機能を元にもどすことは難しいですが、眼の代わりとなる義眼を装着することにより整容面でのハンディキャップを少し軽くすることができます。この義眼を入れるスペースを作成するのが義眼床形成です。琉球大学病院 形成外科では義眼床形成に力を入れています。

義眼床形成は大きく次の3段階に手術が分かれます。

1狭義の義眼床形成術では必要な組織の量に応じて、血管柄付き遊離複合組織移植術、側頭筋膜移植術、真皮脂肪移植術、外側眼窩皮弁移植術、アクリルボール移植術などを行います。琉球大学病院 形成外科ではほとんど全ての術式を行うことが可能です。状況に応じて複数の手術を組み合わせて、十分な組織を移植することにより、なるべく左右対象の眼窩形態の土台を形成することを目標としています。

2結膜嚢形成術では、実際の義眼をいれるためのポケットを作成します。一般的にこのポケットが術後にとても狭くなりやすく、義眼が落ちてしまう原因になっています。この問題を解決すべく、慶應大学形成外科では、2012年に新しい結膜嚢形成術を開発して、国際誌で発表をいたしました*。

*Shimizu Y, Nagasao T, Kishi K A convenient retainer for artificial eye sockets. J Plast Reconstru Aesthet Surg. 65(11):1598-9 2010

3最終的な仕上がりを左右対称に近づけるための小修正術を行います。状態に応じて複数回の手術が必要になることがあります。

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