琉球大学病院、形成外科では様々な症状を扱っております。

琉球大学病院 形成外科

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漏斗胸

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綿密な手術のプラニング

漏斗胸に対する矯正手術においては、金属バーを胸郭に装着して胸郭の形を整えます(図1)。この手術方法(ナス法)については多くのサイトにて紹介されています。
本手術の原理は非常に単純ですが、単純なものほど奥が深いのが世の中の常で、手術を行うにあたっては、十分な手術計画を練る必要があります。このことについてわかりやすく説明します。

胸郭は左右12本の肋骨と背骨・胸骨より構成されています。この構造はちょうど「鳥かご」に似ています(図2)。
このように考えると、漏斗胸の治療とは凹んだ鳥かごを直すのに似ているといえます。

凹んだ鳥かごを、内側から押せばその凹みは直すことが出来ます。金属バーを用いた矯正手術(ナス法)はまさにこの原理に基づく手術です(図3)。

凹んだ鳥かごを内側から押して直す場合、凹みのどこを押すのかによって直る形が異なります。それと同じことで、漏斗胸に対して手術を行う場合、何番目と何番目の肋骨に矯正バーを装着するのかを患者さんごとに注意深く計画することが必要です。例えば図4においては、右上の患者さんでは一本のバーで良い形が得られましたが、右下の患者さんでは2本のバーが必要でした。

このように患者さんによって使用するべきバーの本数や、バーを入れる場所は異なります。これは当然のことで、一口に漏斗胸と言っても胸郭のどの部分が凹んでいるのか、どの程度凹んでいるのかが患者さんひとりひとりで異なるからです。漏斗胸の手術を行うにあたっては、「何番目の肋骨にどのようにバーを装着するのか」という手術計画が、とても大切です。こうした計画を綿密に練ることによってはじめて、患者さんに満足していただける、良好な結果をだすことができます。

わたしたちは少しでも美しく胸郭の形を整えるべく、工学の技術を用いて手術計画を立てています。その手順につき簡単に紹介します。

まず、患者さんのCTデータを撮影します。撮影したCTデータを加工してコンピューターシミュレーションモデルに変換します(図5)。

このシミュレーションモデルでは、肋骨や筋肉など胸郭を構成しているおのおのの部分が仮想状の棒やバネで模擬されています(図6)。

コンピューターを利用した解析計算を行うことにより、バーを挿入すると胸郭の形がどのように変わるのかを予測することができます。

このような技術をおのおのの患者さんに対して用いることにより、手術結果を予測しつつ的確な治療計画をたてることができます。

われわれの開発した技術に対して平成22年度の日本形成外科学会賞が与えられました。
また、世界の胸部外科学会で最も権威のある臨床医学雑誌であるJournal of Cardiovascular and Thoracic Surgeryに右記の3編の論文を発表しています。本邦においては多くの施設で漏斗胸の治療が行われていますが、手術方法や治療計画に関しての研究面において、慶應義塾大学形成外科は本邦で最高レベルにある施設のひとつです。

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